改善計画書の策定・公表の断念~㈱アルデプロ~
- 佐藤篤
- 2024年2月20日
- 読了時間: 2分
今回は株式会社アルデプロ(以下「アルデプロ社」)の話題です。
アルデプロ社は循環取引による不正会計が原因で、2023年11月30日付で東証から特設注意市場銘柄(当時の呼び名のまま。以下同じ)に指定されました。
その指定の解除を目指すべく、改善計画書の策定に取り組んでいたようですが、2024年2月15日に「(開示事項の変更)改善計画書の策定・公表の断念に関するお知らせ」をリリースしておりました。
最初、表題をみて「断念しちゃっていいの!?」と思ったのですが、実際に当該リリースを読んでみると、それもやむなしか、という印象を持ちます。
以下、断念に至った経緯の概要です。
まず、改善計画書の提出先である日本取引所自主規制法人から、代表取締役含む現経営陣だけでなく、現任の取締役全員が退任し、且つ従業員として残ることもいかがなものかという指摘を明に暗に受けたとのこと。
これに対し、アルデプロ社がメインとする不動産の権利調整等は、(監査等委員を除く)現取締役の属人的な人脈やノウハウに大きく依存しており、当該指摘は、事業継続が困難となることから、受け入れ困難であると判断。
また、アルデプロ社は約20名の少人数で運営されているが、日本取引所自主規制法人が求める改善計画の策定のために大半の人的資本が割かれており、本来注力すべき事業活動に人的資本を投下できず、営業活動や資金調達活動が滞っている状況にあるとのこと。
このような状況を総合的に勘案して、改善計画の策定及び公表を断念せざるを得ないと判断したようです。
こう読んでみると、内部管理体制の改善はあくまで手段であり、会社は事業を行うことが本来の目的な訳で、アルデプロ社の決断には一定の合理性があるように感じられます。
もちろん、そもそもの原因が不正会計なだけに同情の余地はほとんどないのですが。
また、日本取引所自主規制法人は結構厳しい指摘をする、ということも今回知りました。
到底受け入れられない指摘をすることで、自主退場を促すという戦略なのか?とも思いましたが、流石に考えすぎでしょうか。
今回の件が上場会社による不正会計の抑止になってくれるといいのですが。
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