大手監査法人における昇進、情報開示の適正量~「企業会計」2025年9月号より~
- 2025年9月23日
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今回は「企業会計」2025年9月号から、表題のネタ2本です。
連載「会計時評」の「AI時代における会計プロフェッショナルの役割と専門職研究」(松原沙織)で、大手監査法人におけるパートナーへの昇進について触れられていました。
大手監査法人での昇進
一般に「アップ・オア・アウト(up or out)」として知られ、アップ、つまり昇進しない場合は、退社(アウト)するということを意味する
「アップ・オア・アウト」に関する国際共同研究
欧米や中国の大手監査法人においては、経済的利益の最大化が「アップ」すなわち昇進を実現する上で最重要な指標であり、パートナーの評価においても中心に据えられていることが多い
対して日本の大手監査法人における「アップ」に関する指標は、経済的利益を生み出すことの重要性に加え、ことさら高度な専門知識と倫理観を基盤とした「誠実さ、責任感、組織への貢献意識」といった点が重要な指標となっていた
感想
欧米・中国と日本のどちらが優れているという話ではないですが、穿った見方をすると、日本では、収益目標をクリアできない人を昇進させるために、方便として「誠実さ、責任感、組織への貢献意識」を持ち出しているような気もします。
また、小耳にはさんだ話では、語学力不足を理由にパートナーへの昇進を阻まれている人もいるらしく、これはこれでパートナー数制限の方便として用いられているのだろうな、とも感じました。
「情報開示の量に適正水準はあるか?:投資者の処理能力と情報過多」(塚原慎)では開示の適正量について述べられていました。
投資者が公表される情報に効率的に反応できると仮定すれば、企業による情報開示量は、多ければ多いほど企業・投資者間にある情報の非対称性が解消されることから、望ましいものと一般的に捉えられる
IO(Information Overload)
投資者が一度に処理できる情報量に限界があるとした場合、一定の閾値を超え供給された情報は「過多」なものとなり、投資者の意思決定に十分活用されない可能性がある
Schroder et al.(1967)
情報量の増大を含む概念である「情報環境の複雑さ」と意思決定の質との間に「逆U字の関係」が存在すること、すなわち複雑さの一要素である情報量の増大に伴い、当初は意思決定の質が向上するが、一定の水準を超えるとその関係が反転するということを論じた
感想
EDINETが導入される前は、有価証券報告書(と半期報告書)は印刷物を購入していました。
今とは比較にならない程開示量は少なかったにも関わらず、「結構なボリュームだなあ」と感じていました。
それも遠い過去の話で、現在の有価証券報告書(特にIFRS適用企業)はとても読み切れるものではなく、必要を感じた時にその箇所だけを見るという使い方をしています。
企業側が相当のコストを負担して作成しているにも関わらず、却って読まれなくなるというのは、何とも切ない話です。
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