公開買付制度等に関する改正について(後半)~「会計・監査ジャーナル」2026年1月号~
- 1月16日
- 読了時間: 4分
前回のエントリーでは「会計・監査ジャーナル」2026年1月号の企業法務コーナー「公開買付制度等に関する改正と実務への影響」(近澤諒、藤井翔貴)の前半部分を取り上げましたが、今回は後半部分です。
「買付け等」(間接取得の明文化)
(現行法)
上場会社である対象者の株券等を所有している他の会社の株式を取得することにより、実質的に対象者の支配権を取得する行為(いわゆる「間接取得」)についての明文規定は存在しない
(改正後)
間接取得のうち、以下の要件に該当するものについては買付け等に該当することが明文化された
①対象者の株券等を保有する法人等に対する議決権所有割合(小規模所有者等を除く特別関係者分を含む。)が新たに50%を超えることとなること
②専ら対象者の株券等を取得し、また対象者の株券等にかかる議決権の行使について指図を行うことを目的として行うものであること
「所有」(新規発行取得の合意がある場合の追加)
(現行法)
強制公開買付規制の適用の有無は、買付者の買付け等の後の株券等所有割合を基準に判断されるところ、その計算にあたっては、買付者が所有する株券等に加え、所有に準ずる株券等も考慮される
(改正後)
上記の所有に準ずる場合として、「株券等の発行者との間で当該発行者が新たに発行する株券等の取得について合意している場合」が追加される
形式的特別関係者の範囲の縮小
(現行法)
買付者の買付け等の後の株券等所有割合の計算にあたっては、買付者自身が所有する株券等に加え、買付者と一定の資本関係・親族関係・身分関係のある特別関係者(いわゆる「形式的特別関係者」)の所有分も合算する必要がある
(改正後)
以下については形式的特別関係者の範囲から外れることとされた
①買付者が個人である場合の親族関係(配偶者、一親等内の血族・姻族)
②買付者と特別資本関係(議決権20%の所有または被所有の関係)を有する法人等の役員等
法人等である買付者自身の役員等については、本改正後においても引き続き形式的特別関係者となる点に留意
公開買付価格の引下げに関する改正
現行法上の公開買付価格の引下げ事由であった①株式分割または②無償割当に加えて、③剰余金の配当が追加され、さらに、④決済日より前の日を基準日として①から③の行為を行う旨を決定したことが追加された
これらの事項について株主総会決議を要する場合には、株主総会に上程する旨の取締役会決議をもって「決定」があったものとされる
買付期間の延長に関する改正
(現行法1)
買付け期間を、60営業日を超えて延長できるのは、訂正届出書の提出等により延長が強制される場合、及び公開買付期間中にいわゆる対抗公開買付けが開始された場合に限られる
(改正後1)
対象者に関する公開買付の撤回事由が生じ、延長について関東財務局長の承認を受けた場合が追加された
(現行法2)
公開買付期間が残り10営業日を切ってから訂正届出書を提出する場合には、形式上の不備を理由とする訂正届出書を提出するときか、公開買付期間の延長以外に訂正事項がないときを除き、訂正届出書の提出日から10営業日後の日まで公開買付期間を延長する必要がある
(改正後2)
株券等の取得につき必要となる許可等を得られたことにより訂正届出する場合(当該許可等に重要な条件が付されている場合は除く。)、及び関東財務局長の承認を受けた場合にも公開買付期間の延長は不要とされる
撤回事由の拡充
以下が新たに追加される
①公開買付け開始後の有事導入型買収防衛策の導入の公表
②公開買付けにより株券等の買付け等を行うことが法令(外国の法令を含む。)違反となること
③公開買付けの差し止めを求める仮処分命令の申立て
④公開買付けの禁止または停止の申立て
⑤上記①から④に準ずる事項であって公開買付開始公告及び公開買付届出書において指定した事情
⑥撤回を行うことについて関東財務局長の承認を受けたこと
コメント
前回と今回のエントリーは「どうなる」の部分のみ取り上げ、「どうして」の部分はカットしました。
「どうして」を知りたい方は掲載誌を一読されることをお勧めします。
コメント