個人の資産運用に企業価値評価は使えるか?~「企業会計」2023年3月号~
- 佐藤篤
- 2023年4月18日
- 読了時間: 2分
月刊誌「企業会計」には「進化する会計・ファイナンスの世界」という連載記事があります。
2023年3月号は「個人の資産運用に企業価値評価は使えるか?」(吉永裕登)でした。
「財務諸表分析で収益性の高い企業を見つけ、その企業の株式に投資すると儲かる」と考える方がいるかもしれない。しかし、収益性・安全性などの分析だけで投資を行うのは、少し気をつけた方が良い。
株式投資を行うのであれば、必要な視点は「コスト・パフォーマンス」である。ここで株式投資におけるコストとは株式の購入金額であり、手数料を考慮しなければ、現在の株価をもとに容易に計算できる。
一方で株式投資におけるパフォーマンスとは、不確実な将来の配当益や値上がり益であり、測定が困難である。そこで企業価値評価の手法を用いて理論株価を予測し、この不確実な将来のパフォーマンスを推定する。
とはいえ、「本当に企業価値評価を学び、活用する必要があるだろうか」という点を考えてみる必要がある。技術の発展や競争の激化によって個人に求められる能力が多い現代では、知っておいた方が良いことも、できた方が良いことも膨大である。こうした現代において、知らなくても大きな問題がない知識や能力を明示することには十分な意義がある。
個人の資産運用目的であれば、別に企業価値評価を使う必要がない。
(理由その1)コストの大きさ。企業価値評価の手法をきちんと学んだとして、これを実際の企業分析に応用する場合にかかる時間と労力が大きすぎる。
(理由その2)優良企業を見つけてその1社に投資するよりも、TOPIXやS&P500等の市場インデックスに連動するような分散投資をする投資信託等を購入する方が、ローリスク且つハイリターンになる場合が多い。
(理由その3)プロの運用担当者が考案したアクティブ・ファンドでも、往々にしてインデックス・ファンドに対する勝率が低い。
企業価値評価を学ぶべき人
才覚、運、自信、資産、時間を全て持ち合わせている人
社会や経済に対する知的好奇心の高い人
企業経営者、事業部長、財務担当者等、投資先の個別リスクを引き受ける判断を行う人々。つまり、個人投資家のように低コストで分散投資が可能な立場ではなく、自社の強みを生かした集中投資でより多くのリターンを享受しようとする立場の人々。
感想
正直言って、あまり新たな気付きはありませんでしたが、入門的位置付けであるため、やむを得ないと思っています。
一方で上記のメモ書きでは省略していますが、論拠が面白いので、読む価値自体はあると思います。
4月号も楽しみです。
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