上場企業の監査実施状況に係る分析(2021年度)を読んでみました~「会計・監査ジャーナル」2023年4月号~
- 佐藤篤
- 2023年3月28日
- 読了時間: 2分
「会計・監査ジャーナル」2023年4月号に掲載されている『上場企業の監査実施状況に係る分析(2021年度)〜監査実施状況調査(2021年度)を起点として〜』(三原武俊)を読んでみました。
分析調査対象
監査概要書に記載の監査報酬と監査時間
2021年4月期決算から2022年3月期決算まで(これを2021年度とする)の監査業務のうち、12カ月決算の業務に限定
2017年度から2020年度までの過去4年度分の業務も対象
以下、調査結果です。
総監査報酬と総監査時間の推移
2017年度から2021年度までで、総監査報酬は約16%、総監査時間は約15%増加
上場企業数は2017年度3,558から2021年度3,788と約6.4%増加
一業務あたりの監査時間の推移
各年度で監査時間を長い順に1から5までの5つのグループに同数ずつ分けて分析
2017年度比で、2021年度は各群とも約7〜8%増加。
一番監査時間の長いグループが、それ以下の4グループに比べて突出して監査時間が多い。
監査報酬の前年度比較
2020年度と比較して2021年度の監査報酬が増額した企業の割合は50%、同額企業の割合は30%、減額企業の割合は20%だった。
事務所規模別の業務数の占有率
時価総額が大きくなるほど大手事務所の占有率が高い傾向があり、これは過去から変わりない。企業規模と監査事務所の規模に一定の正の相関が見られる。
監査人の異動
2017年度から2020年度は100件から144件の間であったが、2021年度は192件と例年より多かった。
異動のパターンとしては、大手事務所から非大手事務所が120件/192件と突出して多い。次いで多いのが、非大手事務所から他の非大手事務所のパターンで、50件/192件。
大手事務所から非大手事務所への異動の120件のうち、55件は時価総額が最小規模の企業。
感想
いずれの調査結果も意外性がなく、想定の範囲内という印象でした。
ただ、監査報酬について、50%が前年度から増額という結果は、思っていたより多い印象です。
日本の株式市場は、企業が会計不正を起こしてもまず上場廃止になることはなく、その分会計士・監査法人への締め付けが厳しくなるというパターンを繰り返していますが、その結果として監査時間と監査報酬の増加を引き起こし、ちゃんと決算を行っている企業が割を食うという構図になっています。
一会計士としては、仕事が増えるのであながち悪い話ではないのですが、何だかいろいろと考えさせられてしまいます。
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