会計監査人の監査意見が変更された事例~㈱海帆~
- 7月3日
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2026年6月25日に株式会社海帆(以下「海帆社」)が「2026年3月期計算書類及びその附属明細書ならびに連結計算書類に対する意見不表明に関するお知らせ」をリリースしておりました(リンク)。
近時の会計監査を取り巻く状況からすれば、意見不表明程度では驚くことも無くなりましたが、今回の海帆社の事例は些か特殊でしたので取り上げることにしました。
どう特殊だったのか、以下、当該リリースからの引用です。
当社は、2026年5月15日付「2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」の公表に必要な監査手続きである、会社法第436条第2項第1号及び会社法第444条第4項の規定に基づく監査について、2026年5月27日付で無限定適正意見を受領しておりました。その後の有価証券報告書監査実施時に、プログレス監査法人より、当社の財務諸表において、資金の逼迫が深刻であり、会社の継続性の前提についての重要な不確実性が財務諸表に与える影響は、重要かつ広範であることを理由として、2026年3月期の計算書類及びその附属明細書ならびに連結計算書類に対する監査意見を訂正し、意見を表明しない旨の監査報告書を受領いたしました。
一旦表明した会社法計算書類等に係る監査意見を後日になって変更したとのことです。
個人的には、同様の事例を経験・見聞きしたことはなく、少し驚かされました。
意見不表明の根拠については、以下、会計監査人の監査報告書から引用します。
会社は継続して営業損失、経常損失及び当期純損失を計上している。また、会社は2026年4月27日に株式会社FitFounderに対する債務約109百万円につき名古屋地方裁判所より差押命令を受け、さらに、会社は2026年5月11日に会社の社会保険料の滞納分約29百万円につき日本年金機構より資産の差押を受けており、資金が逼迫している状況が認められる。これらのことから会社の継続性の前提に重要な不確実性が認められる。
当監査法人は、会社が実施した継続性の前提に関する経営者の評価につき、会社にこれらの状況を含めた評価の実施を求めたにもかかわらず、経営者が進めている対応策又は改善するその他の要因の存在についての十分な監査証拠を入手できなかったことから、現時点では、必要な監査手続を完了することができなかった。
株式会社海帆の計算書類等において、上記のように資金の逼迫が深刻であり、会社の継続性の前提についての重要な不確実性が計算書類等に与える影響は、重要かつ広範であるため、当監査法人は、上記の計算書類等について、意見不表明とすることにした。
当初の無限定適正意見の表明は2026年5月27日付、一方で差押は2026年4月27日と2026年5月11日なので、最初から意見不表明にできたのでは?とも思うのですが、会計監査人が差押の事実を知った・知らされたのは5月27日以後だった可能性はあります。
いずれにせよ、その辺りの経緯は知りようもありません。
ただ、会計監査実務上、一旦表明した監査意見を取り下げて再表明する余地があるという点は一つ参考になりました。
実際に経験したくはありませんが。
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