会計・金融リテラシー教育ビジネス~「会計・監査ジャーナル」2023年8月号~
- 佐藤篤
- 2023年8月8日
- 読了時間: 3分
「会計・監査ジャーナル」2023年8月号に掲載されているある特集記事の表題を見て、首をかしげてしまいました。
その記事の題名は『特別鼎談「会計・金融リテラシーの普及・向上への貢献」及び「会計・金融リテラシーと中小企業経営」について』というもので、これだけみると、どういう内容の鼎談なのか見当がつきません。
そんな訳で、とりあえず読んでみることにしました。
会計教育研修機構(JFAEL)の取り組み
公認会計士事業;公認会計士の継続的能力開発および公認会計士試験合格者に対する実務補修を行う事業
一般向け研修事業;広く会計、監査等に関心を有する者の教育研修に向けた教材の開発及び教育研修を実施する事業
最近、日本FP協会の認定教育機関となった。その狙いは、これまでJFAELのターゲットとしては大企業中心であったものを、そこから拡大させることにある。
Jicpaの取り組み
新しい学習指導要領に基づく教育課程への対応として、「会計リテラシー・マップ」の作成、中学・高校の教員向けの指導教材の作成を行ってきた。
日本FP協会の取り組み
小学生向け;作文コンクールの実施
中学生・高校生向け;「10代から学ぶパーソナルファイナンス」を作成し無償提供するとともに、この冊子を用いて高校生向けに出張授業を実施。
中学・高校の先生向けのインストラクターズマニュアルを作成し、学校へ無償提供。
社会人向け;「くらしとお金のワークブック」「若手社会人のマネー&ライフプラン」
シニア向け;50歳代と60歳代以降に分けて、リタイア後の冊子を作成。
金融リテラシー教育の課題
大企業の社員であれば、会社の福利厚生制度を利用してライフプランを相談することも可能であるが、中小・零細企業の社員や個人事業主ではそのような手段を利用することは難しい。係る層へFPによるアプローチを強化していきたい。
JFAELにはFPの養成に協力して欲しい。
行政に、国民が40歳時点でライフプランを作成することの制度化を働きかけていきたい。
中小企業における会計リテラシー
経営者は収支や損益を常に気にかけており、決して会計リテラシーが低いわけではない。
一方で、自社の会社の決算について自身の言葉で説明できる経営者は多くはなく、その点に課題がある。
中小企業で人手不足が加速する中、経営者によるWell-beingへの理解が不足しており、結果として従業員から見放され、淘汰されるリスクがある。
感想
簡単にまとめると、当該記事の目的は、日本FP協会とJFAELがお互いの業務範囲・売上の拡大を目指して協力してやっていく取組みを紹介することのようです。
そしてそのターゲットとなっているのが中小企業の経営者と従業員なのだろうと読み取りました。
また、当該記事の中では、
政府が教育機関と連携して不足している人材を育て、確保していく方針であること
大学生が、FPの知識が自身の将来のキャリア形成のために必要という認識を持っているようであること
を紹介しており、このことも日本FP協会とJFAELが業務範囲の拡大を目指していることの現れだと思います。
今のところは、そのような動きがあるということを覚えておけばいいのかな、という印象を持ちました。
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