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予想損失モデルの概要~「企業会計」2024年12月号~

  • 2024年12月20日
  • 読了時間: 3分

「企業会計」2024年12月号の連載「会計時評」は「金融資産の減損モデルのシフトと課題」(吉田康英)でした。

わかりやすくポイントがまとまっていましたので、取り上げることにしました。

 

経緯

  • 2008年9月に発生したリーマン・ブラザーズの経営破綻に代表される世界金融危機の原因の一つとして、G20は会計基準の不備を指摘した。具体的には公正価値会計と金融資産の減損を問題視した。

  • 世界金融危機は急速に進展したため、当時の減損の認識要件に基づく会計処理では後手に回り、要件を満たした時点でそれまでに増大した信用リスクの影響が一気に会計上で費用計上されたことが問題とされた。

  • 対応迫られたIASBとFASBは、ともに金融資産の減損を発生損失モデルから予想損失モデルに切り替えた。

  • ASBJにおいて行われている日本基準の見直し作業の第1フェーズ「金融資産の減損」でも、予想損失モデルの採用を前提に検討が進んでいる。

 

予想損失モデル

  • 対象資産の当初認識時から将来的に予想される損失事象を反映した損失を引当計上する。

  • 発生損失モデルの損失の認識要件である客観的証拠の存在や損失の高い発生可能性とする閾値が不要となる一方、発生可能性が低い将来の損失事象も取り込み、継続的に反映することが求められる。

 

IASBとFASBの予想損失モデルの異同点

(主な共通点)

  • 損失の測定に貨幣の時間価値を反映すること

  • 損失の見積りは、損失が生じる可能性と生じない可能性の両方を常に反映すること(最頻値ではなく、期待値によること)

(主な相違点)

  • IFRS第9号は金融資産の当初認識時に全ての契約期間を通じた予想信用損失の一部(12ヶ月)のみを費用計上し、その後に信用リスクが著しく増大した場合に全額(全期間)を費用計上する二重測定アプローチを採用している。

  • 米国基準は金融資産の当初認識時に全ての契約期間を通じた予想信用損失の全額を費用計上する単一測定アプローチを採用している。

 

IFRS第9号の予想損失モデルによる損失評価(貸倒)引当金の設定対象

  • 測定属性が償却原価または公正価値でも償却原価による損益情報が純損益に反映される金融資産が対象。

  • 現行の日本基準に当てはめると、金銭債権の他に満期保有目的の債券やその他有価証券の債券も対象になる。

 

ASBJの見直し作業の主な課題

  • 二重測定アプローチへの対応

  • 債券における予想信用損失の対応

 

感想

日本の銀行の一部では既に予想損失モデルに準じた方法で貸付債権の評価を実施している事例があり、今後も少しずつ増えていく気がしています。


一方で債券については、そのような実務は(恐らく)存在しておらず、予想損失モデルが義務付けられた場合には、貸付債権以上に混乱が生じかねない気がします(特に地方債)。

ASBJがどう基準化するのか、気になるところです。

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