スクイーズアウトの方策と少数株主の税務~「企業会計」2025年10月号~
- 佐藤篤
- 10月17日
- 読了時間: 2分
「企業会計」2025年10月号の「相談室Q&A法人税務」は「スクイーズアウトの方策」(佐久間裕幸)でした。
個人的にスクイーズアウトには関わったことがなく、その予定もないのですが、後学のために読んでみました。
スクイーズアウトの主な方法3つ
1. 特別支配株主の株式等売渡請求
会社の総株主の議決権の90%以上を保有している株主を特別支配株主(会179①)と言い、特別株主及び会社自身以外の他の株主全員に当該会社の株の全部の売渡しを請求できる
実施には取締役会決議による承認(会179の3)が必要
少数株主側には、売渡請求に対して取得をやめることの請求権(会179の7)、裁判所への売買価格の決定の申立ての権利(会179の8)がある
2. 株式併合
株式併合により1株未満の株式数となってしまう株主の持分は会社が買い取ることになるが、これを利用して少数株主の持分が1株未満となるような株式併合を行う
実施には株主総会で特別決議により議決する必要がある(会180.309②)
3. 全部取得条項付種類株式の発行
株主総会決議を経ることで個々の株主の同意を得ることなく、会社がその株式の全部を取得できる種類株式(会171①、108①七)
少数株主の持分が1株未満となるように対価を設定することで、少数株主の持分をなくすことが可能
発行の後、全部取得条項付種類株式の全部を取得する際には、一定の事項を株主総会の特別決議で可決する必要がある
株式併合において反対株主の株式買取請求等(会182の4)が定められて以後、あまり用いられなくなった(手続面で株式併合の方が簡潔であるため)
少数株主の所得税
端数相当の株式処理に伴う対価の支払いはみなし配当課税の対象外(所法25①五)
株式併合に反対する株主からの株式買取請求による買取もみなし配当課税の対象外(所令61①九)
全部取得条項付種類株式によるスクイーズアウトに反対した株主による買取請求についてもみなし配当課税の対象外(所令61①十)
スクイーズアウトの種類を問わず、スクイーズアウトに応じようと反対しようと、結果として買い取られた部分について、株式譲渡損益として取り扱うことができる
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