カゴメ㈱の有報への取組~「企業会計」2024年3月号~
- 佐藤篤
- 2024年4月9日
- 読了時間: 2分
前回の弊ブログのエントリーで、将来的な有価証券報告書の株主総会前提出義務化の可能性について触れましたが、カゴメ株式会社(以下「カゴメ社」)は以前から有価証券報告書の株主総会前提出を実行しておられます。
「企業会計」2024年3月号特集『「チーム有報」ケーススタディ』で、そのカゴメ社の取組みが紹介されていましたので、取り上げたいと思います。
カゴメ社は企業理念の1つに「開かれた企業」を掲げており、ステークホルダーに対して良いことも悪いことも積極的に情報開示をしていく風土が根付いている。
財務経理組織がIRもカバーしていることから株主や投資家といった情報開示の利用者と直接対話する機会が多い。
株主総会の2週間前を目安に有報を提出している。
統合報告書の内容を有報に織り込んで情報を網羅的に理解できるようにしている。
有報の制作は約9ヶ月間(6月から翌3月)の期間をとっている。
6月にテーマ及び方向性の検討からスタートする。前回の開示に関するアンケートやフィードバックをもとに、新たにチャレンジしたい開示・トピック等について財務経理部から経営トップに提案し、経営会議の審議を経た上で確定する。
テーマや方向性が決まった後にトップとの月次ディスカッションを通じて具体的な開示内容を決めていく。
決算月である12月までに、業績数値など決算期末後にしか埋まらない情報を除いて、およそ8割程度を完成させ、取締役会で審議を行う。
取締役会からのフィードバックや業績数値を反映し、会計監査を経た上で3月上旬の取締役会承認を受けて完成となる。
制作体制は財務経理組織の会計、IR領域の担当者4〜6名を中心に、テーマや各パートに応じて関係部門を交えた体制をとっている。
昨今は、気候変動、人的資本、コーポレートガバナンス、リスクマネジメントといった非財務情報の開示要求が高まっていることもあり、関与する関係部門は増えている。
感想
「ステークホルダーに対して良いことも悪いことも積極的に情報開示をしていく」とのことで、嫌味や皮肉ではなく、「意識の高い」会社だなあ、という印象を持つと同時に、そうすることが経営陣のリスクヘッジになるということが共有されているのだと思います。
また、株主総会の2週間前に有報提出なんてどうやって実現させているのだろうと思っていたのですが、決算日前にかなりの部分を前倒し作成しているとのことで、他社の参考になりそうです。
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