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最近の不適切会計事例2件~㈱オルツ、㈱アルファックス・フード・システム~

  • 佐藤篤
  • 3 日前
  • 読了時間: 3分

最近の不適切会計事例2件です。

 

2025年7月25日に株式会社オルツ(以下「オルツ社」)が「第三者委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」をリリースしておりました(リンク)。

同年4月25日に第三者委員会設置に関するリリースを出しており、今般その調査結果が出たという経緯です。

 

そもそもオルツ社が第三者委員会を設置するに至った要因については、以下のように記されています。

当社(注;オルツ社)の「AI GIJIROKU」の有料アカウントに関し、⼀部の販売パートナーから受注し計上した売上について、有料アカウントが実際には利⽤されていないなど、売上が過⼤に計上されている可能性が認められた

 

手段については、以下のように記されています。

販売パートナーから受注し計上した売上の大半に関して、広告宣伝費又は研究開発費の支払名目で資金を支出し、当該資金について広告代理店を経由する形で一部の販売パートナーに対して支払い、最終的に当該販売パートナーから支払を受けることにより売上代金を回収した

 

典型的な循環取引ですが、当該事案で特筆すべきなのはその影響度合で、売上高全体に占める上記取引の割合(調査対象期間2020年12月期~2024年12月期)は、最も低い2021年12月期で78.2%、最も高い2022年12月期で91.3%にも及んでいます。

 

売上高の9割が架空取引という大胆さに加え、循環取引の、その変わらない有効性にも問題の重さを感じます。

正直なところ、きちんと仕組まれた循環取引の直接証拠を掴むのはかなり難しく、今後も同様の事例がちょくちょく出てくるだろうな、と暗い想像をしてしまいます。

 

 

2025年7月24日に株式会社アルファックス・フード・システム(以下「AFS社」)が「2025年9月期半期報告書提出遅延及び当社株式の整理銘柄(確認中)の指定見込みに関するお知らせ」をリリースしておりました(リンク)。

 

そもそも半報の提出遅延に至った要因については、以下のように記されています。

外部からの指摘を受け、周辺サービス事業における配膳ロボットに関する売上計上についての一部疑義を認識

 

上記を受けてAFS社は特別調査委員会を設置した訳ですが、その調査過程で外部から追加の指摘があったとのことで、その内容について、以下のように記されています。

2022年に売却したホテルについて外部販売として計上しているものにかかる疑義等

 

「等」が気になるところですが、それ以上に当該事案でポイントとなるのは、以下の2点になるかと思います。

2025年9月期の監査について、一時会計監査人を選任することができていない

東京証券取引所の上場廃止基準により、延長後の提出期限(2025年7月24日)の経過後8日目(休業日を除く)の日である2025年8月5日までに2025年9月期半期報告書の提出ができなかった場合には、整理銘柄に指定された後、上場廃止となる

 

中々のっぴきならない状況です。

恐らくAFS社は様々な監査法人に打診したのでしょうが、この期に及んで一時会計監査人を選任できていないというのは、それだけ監査法人側が慎重になっている証拠のように思われます。

 

このことは2023年の公認会計士法改正に伴う「上場会社等監査人登録制度の法定化」が効いてきているのかな、と個人的には感じています。

もちろん、単にAFS社のリスクが高すぎて引き受け手がいないだけの可能性もありますが。

 

素直に状況を捉えればAFS社は上場廃止になるでしょうが(何かウルトラCがあるなら別ですが)、同様のパターン(会計監査人選任不能からの半報有報提出不能)で上場廃止になる事例が今後も複数出てくる可能性がありそうです。

 

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