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再評価した土地の減損処理に注意

  • 佐藤篤
  • 2022年4月1日
  • 読了時間: 2分

東急株式会社が2022年3月28日に「当社子会社(伊豆急行株式会社)における減損損失の計上に関するお知らせ」(以下「当該リリース」)というリリースを発出しております。


表題だけ見ますと特に珍しいリリースでもないのですが、特徴的なのは減損損失計上対象となる固定資産に、所謂土地再評価法に基づき再評価された土地が含まれていることです。


土地再評価法は主に金融機関の自己資本対策のために平成14年3月31日まで土地を時価評価することを認めた法律で、今では新たに再評価することは認められていません。

その後、特に地方では土地の時価の下落が続き、当時評価益を計上したがために、今になって減損損失の計上を余儀なくされるケースが多く発生しています。


減損損失が発生する場合、純資産に計上されている土地再評価差額金は取り崩されることになるのですが、その会計処理方法について、企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損会計適用指針」)の第64項で以下のように規定されています。

「土地の再評価に関する法律」により再評価を行った土地については、再評価後の帳簿価額に基づいて減損会計を適用する(減損会計意見書五3.参照)。この場合、減損処理を行った部分に係る土地再評価差額金は取り崩すこととなる(「土地の再評価に関する法律」第8条第2項参照)と解されるが、法律の定めのもとで計上された土地再評価差額金は、売却した場合と同様に、剰余金修正を通して繰越利益剰余金に繰り入れる


当該リリースに記載の通り、再評価に係る繰延税金負債の取崩しは法人税等調整額に計上されるため、直感的に判断すると土地再評価差額金の取崩額も損益計算書に計上してしまいかねず、間違えやすい箇所ですので注意が必要です。

また、再評価前の土地の帳簿価額(取得価額)、再評価後の土地の帳簿価額、減損処理後の土地の帳簿価額の金額的関係性で3パターンに会計処理が分かれますので、必ず減損会計適用指針の設例10を確認の上、会計処理されることをおすすめします。




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