top of page

会計監査人交代と不適切会計~㈱ツルハホールディングス~

  • 佐藤篤
  • 2024年12月31日
  • 読了時間: 2分

2024年12月27日に株式会社ツルハホールディングス(以下「ツルハHD社」)が「2025年2月期半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」をリリースしておりました(リンク)。

 

当該リリースを発出するに至った経緯については、以下のように記載されています。

当社において、会計監査人である有限責任監査法人トーマツ(以下、監査法人トーマツという。)の指摘により、過年度の連結財務諸表において、転貸損失引当金の未計上及び店舗閉鎖損失引当金の未計上等に関して誤謬が存在する可能性があることが判明いたしました。

 

私は当該リリースを読む前に、ツルハHD社から不適切会計関連のリリースが発出されたことを人から聞いて知っていたのですが、その際にある仮説を立てました。

結果はその仮説通りだったようで、以下の様な説明がなされています。

当社としましては、前任の会計監査人である有限責任あずさ監査法人を交え、監査法人トーマツとの協議を継続しておりますが、(以下省略)

 

会計監査人の交代は年度替わりのタイミングで行われるのが通常ですが、四半期報告書制度があった頃は、新会計監査人の任期が開始してから1か月強のタイミングで第1四半期のレビュー報告書を出す必要があったため、前任会計監査人の見落としや判断ミスを検出する時間はほとんどありませんでした。

 

ところが、四半期報告書制度が廃止されたことで新会計監査人に時間的余裕が生まれ、前任会計監査人が監査意見を出した過年度決算を「洗う」ことが出来るようになりました。

しかも新会計監査人にとっては、前任会計監査人の責任で決算を適正化できる絶好のチャンスなので、強いインセンティブが働きます。

 

四半期報告書制度が廃止されると聞いた時に、会計監査人の交代に絡んで今回のツルハHD社のような事例が出てくるだろうなと予想していたのですが、それが現実になったようです。

 

会計監査人の交代自体は頻繁に起こる事象ではないので、これから同様の事例が頻出するとは思えません。

一方で今回のツルハHD社の事例で、会計監査人の交代は被監査会社側にとってもリスクであることが明らかになったので、交代に慎重になる企業は増えそうだな、と想像しています。

 

最新記事

すべて表示

Comments


記事: Blog2_Post

©2020 by 佐藤篤公認会計士事務所。Wix.com で作成されました。

bottom of page