連結財務諸表上の偶発債務に連結子会社に対する債務保証は含まれるのか
- 佐藤篤
- 2022年4月26日
- 読了時間: 2分
先日、株式会社高島屋の2022年2月期決算短信に関してのエントリー(リンク)をあげましたが、肝心の決算短信の内容には触れずじまいでした。
正直、気になる点はこれといってありませんでしたが、印象的だったのは、圧縮記帳額や割賦販売法等に基づく供託資産等の、通常決算短信では省略される注記が記載されていたり、単体財務諸表とその関連注記も開示していたりと決算短信にしては内容が充実していることでした。
その充実した開示の一つとして、連結財務諸表上の偶発債務注記が記載されていました。内容は銀行借入金に対する債務保証残高です。
この注記に関連して、連結財務諸表に注記される債務保証には連結子会社に対する保証を含むのかと質問を受けることがあります。
そもそも債務保証は借入した債務者が返済不能となった場合に、代わりにその債務を弁済する契約上の義務です。
これを連結グループ全体から見れば、弁済しなければならない債務額は返済不能に陥った連結子会社が借入した金額(未払利息は無視します)になります。
そして、保証の対象となっている連結子会社の借入金は連結財務諸表上オンバランスされているため、連結グループ全体から見れば既に「確定」債務であり、「偶発」債務ではありません。
この点、偶発債務注記の趣旨は、今はオンバランスされていないが何かアクシデントがあった場合に確定債務としてオンバランスされる可能性がある債務を明らかにする点にありますので、結論としては、連結財務諸表の偶発債務注記に連結子会社に対する債務保証を含めるのは誤りということになります。
ついでに言えば、持分法適用子会社・関連会社に対する債務保証は、連結子会社の場合と異なり、保証の対象となる債務自体が連結財務諸表上オンバランスされていないので、連結財務諸表の偶発債務として注記が必要になります。
結局今回も㈱高島屋の決算内容には関係ない内容になってしまいましたが、これから3月決算会社の本決算発表が本格化する時期で、いろいろな企業の決算短信を眺める機会が多くなりますので、また今回のようなネタも思い付きで記事にしていこうと思います。
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