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親子上場の問題点まとめ~「企業会計」2026年5月号~

  • 7月7日
  • 読了時間: 3分

「企業会計」2026年5月号の”OPINION”は「親子上場はなぜ問題なのか」(神山直樹)でした。

少し前に某社が上場子会社を巻き込んだ制度改正を行ったことで親子上場の弊害が話題になっていたこともあり、興味を持って読んでみました。

 

米国と日本の違い

  • 米国では支配株主が少数株主の利益について強い信任義務を負っており、子会社上場は訴訟リスクが高いとみなされるため、買収プロセスなど一時的な状態を除けばほとんど目にすることがない

  • 日本では、高度成長期を支えた資金供給者は銀行であり、融資先の株式を保有する慣行もあったことから、株式市場の成長期に少数株主保護の視点が欠落し、親子上場は親会社のファイナンス手段として簡単に受け入れられた

  • 日本では独占禁止の観点から持株会社が強く規制されていたことで、資本政策としては中途半端な親子上昇が増えたと考えられる

  • 子会社にとっても、グループ企業としての名前を使って上場し、取引や新卒採用で知名度を利用できるというメリットがあった

 

親会社株主の立場から見た問題意識

(キャッシュ・フローの漏出)

  • 子会社上場では、親会社は支配権を維持しつつ、子会社の事業が生み出す将来キャッシュ・フローに対する経済的権利の一部を外部株主に配分することになり、結果として親会社株主はキャッシュ・フロー獲得機会の希釈化に直面することとなる

(親会社株価への適正価値反映の阻害)

  • 子会社の時価総額の親会社持分換算が、親会社の時価総額を抜いてしまったような場合、親会社株主にとってリターン漏出の相対的な被害が大きくなり、親会社株主としては、子会社を100%所有していた方が良いことになる

(グループ戦略の制約)

  • 少数株主が多いほど子会社事業の所有に関する経営の機動性は失われ、結果として親会社の価値毀損となる恐れがある

 

子会社株主の立場から見た問題意識

(親会社支配による独立経営の阻害)

  • 子会社の経営判断が、事業計画などを通じて親会社の意向に大きく左右されるため、子会社株主のための企業価値の最大化が目的となりにくい

  • 他グループの企業との取引が容易でなく、最善の事業ポートフォリオを作る経営判断が困難

(少数株主保護の限界)

  • 親会社が上場子会社の取締役選任を左右でき、重要な経営戦略に強い影響力を持ち、グループ方針に沿った意思決定を子会社に求めることが事実上可能

  • 親会社と少数株主の間の情報格差が大きく、且つ独立性の低い取締役会であれば当該格差を減らすインセンティブは低い。そのため、少数株主としては、配当方針や重要人材の維持などについて不利な扱いを受けている恐れがあっても検証が困難。

(株価評価の不確実性)

  • 株式市場が取締役会の独立性に信頼を置いていない場合、親会社支配による企業価値毀損を恐れ、その企業が持つ事業の利益や生み出すキャッシュ・フローの価値を低く評価する「支配権ディスカウント」が生じる

  • 親会社との取引をグループの内部取引と捉えた場合、親子間取引(調達価格、販売価格、ライセンス料など)について子会社に不利な可能性があり、且つ外部からの監視も困難

 

感想

親子上場の弊害については、子会社の少数株主利益の毀損に焦点が当たりがちですが、親会社株主にとっても問題があるという点は見逃してはならないように思います。

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