監査役や取締役会から宣誓書を入手する監査実務~ENECHANGE㈱~
- 佐藤篤
- 2024年7月16日
- 読了時間: 2分
以前ブログでも取り上げたENECHANGE株式会社が、2024年7月9日に2023年12月期の有価証券報告書を提出しておりました。
すったもんだあったのでどうなっているかと思ったのですが、無事(?)無限定適正意見でありました。
しかし、すったもんだの傷跡(?)はあちらこちらに散見されます。
1,479百万円の連結債務超過
減損損失1,606百万円計上(EV充電事業に係る固定資産他)
決算訂正関連費用引当金919百万円計上
見慣れない引当金ですが、以下のように説明されています。
外部調査委員会による調査費用並びに調査に伴い追加で発生した開示書類作成支援費用及び監査報酬等を決算訂正関連費用引当金として計上しております。
継続企業の前提に関する事項の注記の記載
財務制限条項への抵触
一部借入金の任意早期弁済570百万円
また、会計監査人への監査報酬が前連結会計年度(2022年12月期)の33.8百万円から当連結会計年度(2023年12月期)は一気に324百万円へ増加しています。
監査業務従事者数が公認会計士61名、その他39名との記載もありますから、相当の人数が投入されたとはいえ、かなりの増え方です。
会計監査人の監査報告書は前述の通り無限定適正意見ですが、こちらもやはりタダでは済んでいません。
継続企業の前提に関する重要な不確実性に係る記載
強調事項の記載
① 第三者割当増資
⓶ 一部借入金の任意早期弁済
KAM
① 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応
⓶ EV充電インフラ1号合同会社に係る連結の範囲の妥当性の検討
KAMに関しては、監査上の対応として経営者確認書の入手を行った旨が記載されています。それ自体は何も変わったことではないのですが、以下のような記載が、併せてなされています。
経営者が、経営者確認書において虚偽の陳述をするリスクに対応するため、各監査役による適切な是正措置が講じられていることを各監査役からの宣誓書入手により確認した。
経営者確認書の信頼性に疑義がない旨の宣誓書を取締役会及び各監査役から入手した。
私は幸いにして不適切会計絡みの監査業務には直接関与した経験がなく、監査役や取締役会から宣誓書を入手する実務があることを、恥ずかしながら初めて知りました。
何かのために覚えておこうと思います。
こうやって外から眺めると、不適切会計って明らかに割に合わないと思うのですが、なくなる気配はありません。
それだけ経営陣が追い込まれるということの証左であり、やはり企業経営って大変だな、と実感させられたのでありました。
Comments