生成AIの特質と会計監査での利用~「会計・監査ジャーナル」2025年12月号~
- 佐藤篤
- 6 日前
- 読了時間: 3分
弊ブログでは何度かAIの監査業務・決算業務での利用について取り上げてきました。
その一環として今回は「会計・監査ジャーナル」2025年12月号に掲載されていた「生成AIの可能性と会計監査の活用(前編)」(日本公認会計士協会テクノロジー委員会未来の監査専門委員会)を読んでみました。
当該記事の概要については以下のように記されています。
生成AIの特質、他の業界での利用事例や、生成AIとの関わり方などについて、国立情報学研究所の山田誠二教授と意見交換を行った。(引用終わり)
以下、面白いと思った部分のメモ書きです。
生成AIの特質
挨拶文のような定型文の生成は、生成AIが最も得意とするところ
長い文章を要約することも得意
クリエイティブな内容はネット上に多く存在していないため、そのような文章の生成は不得意
上記の生成AIの得手不得手をよく考えた上で使うことが重要
入出力は自然言語を用いたQ&Aシステムであることや、多言語に対応していることも特徴として挙げられ、プロンプトエンジニアリング(生成AIに対して適切な指示を与えることで、適切な回答を引き出すための技術のこと)を通じてユーザー自身がシステムに適切で必要十分な指示を与える必要がある
人間と生成AIとの協働
生成AIを1人の部下と見立てた上で、生成AIの能力を人間が推定し、人間が全て行うか生成AIに任せるか、人間が意思決定することが重要
AIには人間的な常識がなく、思わぬ間違いもよく起こるので、それを避けるように人間側でプロンプトを与えることが重要である一方、生成AIに文章を作成してもらうために人間が事前準備や事後の手直しに時間をかけすぎると、結局人間が文書作成した方が早いということになりかねない点には留意
AIの信頼(トラスト)と信頼較正(医療AIの例)
信頼(トラスト)とは、あるタスクをAIが実施した場合の成功確率に関する人間の推定値のこと
「過信」の場合、AIを過剰に利用することでリスクが高まる状態
「不信」の場合、AIを過小評価し使用しないことで全体のパフォーマンスが低下している状態
「過信」又は「不信」の状況から、トラストを補正することを「信頼較正」という
医療業界では、「信頼較正AI」というAIがトラストの状況を判定し、人間にトラストの見直しを行わせるという実証実験が行われている
監査現場での利用
(Q)
AIを使って証憑の突合や開示書類の検証を行うことが始まっているが、処理結果を誤ることや重要な点を看過するリスクがあり、人間が再確認しなければならない場合が多く、結局あまり効率化していない。どのように考えればAIの手続実施結果に依拠できるようになるか。
(A)
AIの性能(間違える・看過するリスク)の見積もりは、答えがわかっている問題を多く解かせて、その正答率を出すことで推定できる(最尤推定)
監査手続で利用する場合、人間による手続実施結果の正答率も100%ではないとすれば、人間並みの性能が出ればAI利用による効率化の余地があるのではないか
生成AIの精度の限界
(Q)
将来的にハルシネーションが解消されて生成AIの結果をより信頼して利用できるようになるのか
(A)
生成AIのアルゴリズム自体の性能が今後飛躍的に向上する可能性は低いと考えている
90%や85%の性能のものをいかに使いこなすかというところが重要ではないか
感想
ボンヤリと感じていたいろいろな物事が言語化されていて、少し生成AIに関する思考が整理されたような気がします。
また、ハルシネーションの問題は将来的にも解消されないというのは少し意外な気もしました。画期的なアルゴリズムが出てくるのを待つしかないのかも知れません。
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