特別調査委員会の調査報告書流し読み~㈱アルファクス・フード・システム~
- 佐藤篤
- 8月8日
- 読了時間: 2分
先日のエントリーで、最近の不適切会計2件について触れました。
その内の1件㈱オルツについては、その週のうちに上場廃止が決定されました。
もう1件の㈱アルファクス・フード・システム(以下「AFS社」)については、8月5日までに半期報告書を提出できなければ上場廃止になるという状況で、結局それが叶わず、上場廃止となるようです(上場廃止日9月6日)(リンク)。
AFS社はそれに先だって、2025年7月30日に「特別調査委員会の調査報告書公表に関するお知らせ」で調査報告書を公表しています(リンク)。
いまさらな感じではありますが、流し読みしてみました。
まず、売上高に関しては、計7社との取引について記載されているのですが、リース契約が絡んだり、買戻し条件が付されていたりと具体的な手口は異なれど、大筋としてはいずれも検収証憑を先行入手して、リスクが売上先に移転する前に売上高を計上するというパターンでした。
売上高以外では、固定資産売却益の実現性が取り上げられていて、こちらは実質的な連結子会社との取引に該当するとして否定されています。
いずれも古典的な不正手口で、目新しさはありません。
また、当該調査報告書には、上記の不正が発生した原因の分析も記載されています。
以下、項目だけを列挙します。
コンプライアンス意識の欠如
代表取締役に対して異を唱えることが難しい社内風土
情報共有の不足
売上計上に係る適切な業務フローの不存在
不十分な監督・監査
度重なる監査法人の交代
これもオーソドックスな内容です。
結局は「代表取締役に対して異を唱えることが難しい社内風土」が、コンプライアンス意識の欠如、情報共有の不足、不十分な監督・監査等を生み出したといえます。
これもありがちです。
ただ、監査人の交代については、2020年以降5つの監査法人がAFS社の会計監査人(一時会計監査人含む)を務めたとのことで、さすがにここまでの回転がいい?会社は見聞きしたことがありません。
結局AFS社が上場廃止になるのは、一時会計監査人を選任できなかったことで半報を提出出来なかったためで、その芽は数年前からあったと言えそうです。
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