分配可能額の上限超過事故を防ぐ~「企業会計」2023年12月号~
- 佐藤篤
- 2024年1月5日
- 読了時間: 2分
今回は「企業会計」2023年12月号の特集「分配可能額をどう算定するか」から「分配可能額の超過を防ぐチェックポイント」(田邊るみ子)を取り上げます。
当該記事は、実際の数値例を用いた解説があったり、表やチェックリスト例もあったりと結構な力作なのですが、それらをここに示す訳にはいきませんので、エッセンス部分だけピックアップしております。
分配可能額上限超過リスクの素早い把握方法
分配可能額の計算方法は会社法で細かく規定されており、計算が複雑となるため、上限超過の事故が生じやすい。
最初に分配可能額を「ざっくりと」計算することで、上限超過のリスクを素早く察知し、超過しそうな場合には会社法の規定に従って正確に計算する、というプロセスを踏むのが有効と思われる。
分配可能額(枠)=①当初枠-②枠の使用累計額
① 当初枠=期末剰余金-期末自己株式簿価-期末評価差損
② 枠の使用累計額=期末後の配当+期末後の自己株式取得
※多額ののれんがある場合は別途考慮する
間違いやすいポイント
自己株式の一部又は全部の控除漏れ。期中に自己株式を消却・処分したことで分配時の自己株式残高が決算時の自己株式残高より少なくなっていても、そのことにより枠が増加することはない(消却の場合は剰余金が減少するし、処分の場合は対価が控除額に含められるため)。
決算日の評価差損の控除漏れ(中間決算日の評価差損で計算してしまうエラー含む)
期中に分配可能額を算定する場合、自己株式の取得額については、実績値に加えて、取得予定額を含めて計算しないと、上限超過しやすい。
感想
配当・自己株式取得決議を取締役会決議事項としている会社は特にミスする可能性が高いので、上記の内容を覚えておく価値はあると思います。
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