内部監査の概要~「企業会計」2025年8月号~
- 佐藤篤
- 9月12日
- 読了時間: 3分
「企業会計」2025年8月号に「J-SOXと内部監査の実務対応Q&A」(浦田信之)が掲載されておりました。
個人的に内部監査業務に携わった経験がないため、当該論説を読んで、新たに知ることができた部分を箇条書きメモにしました。
内部監査がどういう活動であるかについては内部監査人協会(IIA)が公表しているが、必ずしもこれに縛られるものではない
J-SOXの制度はあくまで財務報告に係る内部統制の信頼性のチェックを目的としているのに対し、内部監査の対象は企業のすべての活動に及ぶ
J-SOX以外の内部監査の実施は法律上の明文化された要求事項ではない。しかし、コーポレートガバナンス・コードでは、内部監査の実施は上場企業として当然の前提として語られている。また、IPOの際の上場審査においては内部監査が適切に行われているかが審査対象となっている。さらに、有価証券報告書においても「内部監査の状況」が開示されている(内部監査を実施していない旨の開示をしている企業は極めてまれ)。
IIAが2024年1月に「グローバル内部監査基準」(GIAS)を公表し、2025年1月から全面適用となっている。強制されるルールではないが、ガイドラインとして有用。
社長等の執行側と、取締役会などの監督側の双方に内部監査部門が報告を行うべきという考え方をデュアルレポーティングラインと呼ぶ。トップ主導の経営者不正へ対抗することが目的。
内部監査部門に対する外部評価について、IIAは、内部監査部門は少なくとも5年に1回は独立した評価者また評価チームによる外部評価を受けなければならないこと、評価チームには少なくとも1名は公認内部監査人が含まれていなければならない、という指針を出している。係る外部評価サービスは、日本内部監査協会や、コンサルティングファームがサービスを提供しているが、その多くはIIAの基準に適合しているかをベースに判断していくので、IIAの基準等を参照せずに内部監査を行っていた場合は、極めて低い評価がつく可能性がある点に注意。
有価証券報告書における内部監査の状況の開示について、日本内部監査協会が「内部監査の状況の開示のあり方」という報告書を2024年4月5日付で公表している。
感想
内部監査部門も、任意とはいえ、外部評価が求められているというのは初耳でした。
考えてみれば、社内からそのような声が出てくるのも想像に難くありません。
また、トップ主導の経営者不正に内部監査は機能し得ないものと思い込んでいましたが、デュアルレポーティングラインを採用することで、少なくとも形式上は対応しているようにみせることが出来るため、今後採用する企業が増える気がします。
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