top of page

㈱オリエンタルランドのレベニューマネジメント~「企業会計」2024年8月号~

  • 佐藤篤
  • 2024年8月23日
  • 読了時間: 3分

前回のエントリーで「企業会計」2024年8月号の特集「人口減少問題を会計で解決する!」を取り上げましたが、今回も同特集から「オリエンタルランドに学ぶ顧客満足度を高めるレベニューマネジメント」(青木章通)を取り上げます。

 

レベニューマネジメントとは

  • 有限のキャパシティを保有するサービス業において、異なる性格を有する顧客セグメントに対してキャパシティを適切に割り当てること、および販売開始後の需要動向に応じてキャパシティの割り当て対象ないし価格を変更することを通じて、短期的な利益の最大化、適正な長期的利益の実現を支援する経営管理技法

 

レベニューマネジメントによる価格設定

  • 曜日・顧客層・時間帯別に異なる顧客層を想定して、異なる顧客層に対して異なる料金帯を設定するタイプの差別的価格設定←当該記事で取り上げる

  • 販売開始後の受給状況に応じて価格を継続的に変更するタイプの動的な価格設定←当該記事では取り上げない

 

WTP~Willingness to Pay~支払意思額

  • 製品やサービスに対して消費者が「自発的に」支払う最大の金額のこと。商品の価格をWTPに近づけていくことが、売上の最大化に通ずる。

  • 某飲料メーカーは、暑い日に飲料の価格を引き上げる気温センサー付き自動販売機の実験を実施したが、その実験は顧客の反発により中止に追い込まれた。需給ギャップのみに基づく価格設定は顧客の反発をもたらす。

 

人口減少社会におけるレベニューマネジメントの留意点~供給面への影響

  • 従来は客室数や座席数などが制約されたキャパシティであったが、人口減少社会においては、物的なキャパシティの上限よりも、人手不足によるオペレーションの上限が制約となり、商品の最大販売可能数量を決定付けてしまう。

 

㈱オリエンタルランドの取り組み

  • 「2020中期経営計画」キャパシティの拡大→「2024中期経営計画」入園者数の引き下げ

  • この方向転換の背景には、労働人口の将来的な不足への対処があったと思われる。

  • 2021年3月以降、入場の価格を上昇させると同時に曜日やシーズンにより価格を変更することで繁閑格差の軽減に取り組んだ。これは需要動向に応じて頻繁に価格を変更するのではなく、曜日やシーズンによる需要の違いに応じた差別的な価格設定である。

  • チケットの購入を、原則として日付を指定したオンラインによる事前予約のみとすることで、顧客情報の収集を行い、今後のパーク運営に活用していると推測する。

 

感想

今学習している英語教材で、オンラインショッピングの返品がネタとして取り上げられています。

それによると、返品しにくい仕組みにしてしまうとリピーターが増えなくなるため、敢えて返品しやすくすることで顧客ロイヤルティを高めるのが中長期的な利益獲得に繋がるのだそうです。

WTPの話もこれに通じるものがあるな、と思いました。

 

㈱オリエンタルランドについては、流石のディズニー・リゾートも労働力不足の荒波には逆らえないのか、と感慨深いものがあります。

特に、裏方さんはともかく、キャストさんは若い人じゃないとダメなのでしょうから、若年労働力不足の影響は寧ろ深刻なのかも知れません。

 

最新記事

すべて表示

コメント


記事: Blog2_Post

©2020 by 佐藤篤公認会計士事務所。Wix.com で作成されました。

bottom of page