22年ぶりの赤字決算~サッポロホールディングス株式会社の2020年12月期決算短信の感想~
- 佐藤篤
- 2021年2月16日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年11月2日
先日サッポロホールディングス株式会社(以下、サッポロHD)が22年ぶりの赤字に転落したというニュースを見ました。
サッポロビールといえば数年前に北海道の恵庭工場へ見学に行ったことが思い出されます。広大な敷地にパークゴルフ場があり、遊歩道も整備され、とても贅沢な作りの工場だなぁと思ったものです。一方で工場内の物販店は非常にこぢんまりとしていて、同じタイミングで訪問したニッカウヰスキー余市工場の物販店の充実振りと比べると、なんと商売っ気のない会社なのだろうと思ったものでした(決してニッカウヰスキーを揶揄している訳ではありません)。
加えて、かなり昔に週刊朝日誌上に「恨ミシュラン」という連載があったのですが、その中で著者の一人である西原理恵子さんがサッポロビール関係の宣伝漫画を依頼された時に自虐テイストで書いたらそのまま採用され、しかもギャラもかなりたくさんくれたという思い出を書いておられ、そのこともサッポロビールは商売っ気のない会社という私の偏見を助長させております。
そんなサッポロビールを傘下に持つサッポロHDの決算がどんな内容だったのか2020年12月期の決算短信を見てみました。
まずセグメント情報を見てみたのですが、全体的な印象としては酒類事業と食品飲料事業の赤字を不動産事業でカバーするというビジネス構造になっています。不動産事業はおそらく恵比寿ガーデンプレイスの占める割合が高いと推測しますが、リモートワークの普及で都心のオフィス賃貸ビジネスは今後縮小していく可能性もあり、先行き不透明なことは間違いなさそうです。
ところで食品飲料事業というのは何だろうと思って調べてみたのですが、これはポッカの飲料事業がメインのようです。正直、久しくポッカの製品を買ったという記憶はなく、男性の顔がデザインされた缶コーヒーの印象があるくらいです。
酒類事業については、昨今のウイスキーブームの恩恵に与れていなさそうです。サントリー社が自社でウイスキーを製造販売しているのはご存知の通りですが、アサヒビール社はニッカウヰスキーを完全子会社としており、キリンビール社もウイスキーを自社で製造販売している一方、サッポロHDは企業グループ内でウイスキーの製造は行っておらず、1社だけ乗り遅れているという印象は否めません。
続いて連結損益計算書を見てみますと、まず目に付いたのはその他営業費用が前年同期に比べて280億円増加していることでした。このうち142億円は減損損失によるものでしょう。
加えて金融費用についても前年同期比で26億円増加しています。これについてはおそらく円高による為替差損ではないかと推測しております。
今回の決算で減損損失が出し尽くされており、且つ極端に円高が進行しなければ2021年度決算は黒字化も見込めそうですが、率直に申し上げて中長期的な経営状況は厳しそうだな、という感想を持ちました。
以上、決算短信を眺めての感想でしたが、サッポロビールには黒ラベルや赤星など個人的に好きな銘柄が多く、ぜひ復活を果たして欲しいなと思っております。
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